フアイアはなぜ日本で保険適用ではないのか?

<執筆者>

笹森有起

薬剤師、漢方薬・生薬認定薬剤師。

日本薬科大学「漢方アロマ:漢方医療従事者専攻コース」非常勤講師。
看護管理者・看護教育者のための専門誌『看護展望』にて「漢方で癒されよう」を連載中。

がんの再発抑制や免疫の安定化に役立つエビデンスがあり、安全性も高いと言われるフアイア(Huaier)。 漢方薬や生薬の先進国である中国では「保険適用」の抗がん剤として認可されていますが、日本では保険適用にはなっていません。

この点について、誤解されやすいポイントを整理しながら、医学的・制度的な観点から正確にお伝えします。

保険適用されるためには“倫理的に”難しい臨床試験が必要

新しい医薬品が保険適用されるためには、日本で有効性と安全性を証明するための臨床試験(治験)が必要です。

その際、「新しい薬を飲む群(治療群)」と「プラセボ(偽薬)や既存の標準治療を飲む群(対照群)」を設ける必要があります。

しかしフアイアにはすでに

  • 生存率の改善が示されている
    (例:肝がん術後の無再発生存率を有意に改善※1)
  • 重篤な副作用の報告がない

という特性があります。

ここで大きな問題が出ます。

倫理的ジレンマ

効果と安全性が示されているものをわざわざ「効果がないプラセボ」を飲ませて比較することは、倫理的に疑問があると国際的にも議論されています。

特に、がん患者さんや再発が不安な患者さんに対してわざわざ“偽薬”を飲ませることは、医師にとっても受け入れがたい設計になります。

このため、治験そのものが成立しにくいという現実があります。

「保険適用=効果がある」「保険外=効果がない」ではない

日本ではよく誤解されがちですが、
「保険適用=効果がある」
「保険適用外=効果がない」

という区分ではありません。

保険適用かどうかは制度上の判断であり、薬そのものの効果・臨床的有用性とはまったく別の話です。

保険適用は主に

  • 健康保険法
  • 中医協(中央社会保険医療協議会)による薬価収載

といった制度によって決められます。

そのため、「効果が強いものが保険になる」という単純な仕組みではなく、制度・安全性・流通形態など、複合的な要素で決まるのが実情です。

医薬品の分類と保険適用の関係

以下の図のように、医薬品の中にも保険適用と保険外がありますし、一方で医薬品以外でも、フアイアのように臨床研究で効果が示されているものも存在します。

現在(2025年11月時点)、厚労省では「OTC類似薬の保険給付の見直し」 が進められています。

内容はこうです:

市販薬(OTC)と同じ有効成分を持つ医療用医薬品を、保険適用から外す
(=医師の診察を経なくても、薬剤師・登録販売者の管理下で安全に販売できるものは保険外へ移す)

このように、これまで保険適用で効果が認められていたものであっても保険から外れることがあることからもわかる通り、「保険外=効果がない」ではありません。

「採用件数が少ない=効果がない?」は過去の話。
オンライン診療が普及し、医療機関数が多くなくても良くなった

これほどエビデンスが確立されているのであれば、もっと多くの医療機関で採用されてもいいのでは?というご質問をいただくことがあります。

院長の新見先生も、かつては各県に最低1つはフアイア採用クリニックが必要と思われていました。

しかしコロナ禍でオンライン診療が解禁され、今では日本中どこからでも診察と処方が可能になりました。その結果、フアイアを扱う医療機関は「たくさんある必要」がなくなったのです。

フアイアはどんな治療の邪魔もせず、邪魔もされないためどんな治療とも併用が可能ですし、検査等も必要ありません。オンライン診療を活用することで、極端な話、「日本に1軒あれば良い」という状況に変わっているのです。

最後に:保険であるかどうかよりも、“自分の将来に何を選ぶか”

日本ではどうしても

  • 保険=正しい、安心
  • 保険外=怪しい、効果がない

というイメージが強い背景があります。
しかし実際には、医療保険は一制度であり、効果の有無とは別問題です。

フアイアは、

  • 大規模臨床試験で再発抑制が示されている※1
  • 重篤な副作用がない 

という特徴をもつ生薬です。

重要なのは、保険適応かどうかではなく、「自分がどう生きたいか」の選択です。
フアイアは、その選択肢のひとつとして、“体が自分を守る力を取り戻す” ことを支える生薬です。

引用・参考文献

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